『ハッピーな日々』富士見公演


2017年12月15日[金]、16日[土] 富士見市民文化会館キラリ☆ふじみ マルチホール

[当日パンフレットより]
今回は初のベケット戯曲の演出です。ベケットの演劇との距離感、劇場で観客と俳優が対峙している状況を含めて戯曲を書いているところや、演劇の常識にいちいちツッコミをいれる感じにはとても共感を覚えます。
ベケット戯曲は著作権管理上も戯曲に忠実に上演するよう指定されていますが、それがなくてもできるだけシンプルに上演した方がポテンシャルを発揮できる戯曲だと思います。しかし今回の上演はシンプルな上演とは言えないでしょう。日本語に翻訳し現代の日本で上演することを考えると、シンプルに上演している余裕は無いんじゃないかと思っています。

ベケットといえば『ゴドーを待ちながら』をはじめとする不条理演劇の神様みたいな作家です。不条理というと、現実の条理から外れた異世界の物語という印象があるかもしれませんが、不条理演劇は現実を映すとも言われます。この世の中も全て条理で説明がつく訳ではありません。絶対だと思われる時間だって、人間が勝手に作った単位で、4年に一度はうるう年で帳尻を合わせていたり、科学や理論で説明できないことは沢山あります。もしかしたら人間自身のことが一番条理では説明がつかないのかもしれません。そこに私たちが納得するような理由がなかったとしても恐れることはありません。物事には原因や理由がある、物語には連続性と結末がある、という条理も人間が勝手に考えたもので、世の中全てが本当にそうであるかはまた別の話です。

今の日本で暮らしていると、むしろ条理が通用しないことの方が目につきます。日本の抱える闇が明るみに出て消えるどころか白昼堂々その闇が日本を包もうとしているように感じます。しかし、たかだか日本が抱える闇なんぞで不幸になってたまるかとも思います。この戯曲のタイトル『Happy Days』は『しあわせな日々』と訳されることが多いのですが今回の新訳の上演にあたっては翻訳者の長島確さんとも相談して『ハッピーな日々』としました。実際「ハッピーな日々」でネット検索すると、たくさんのブログ記事などが出てきます。みんなハッピーに暮らしているようです、幸せかどうかはわかりませんが。ハッピーハッピー言ってたら、気づいたら何かに埋まっていた、いや、むしろそれにすら気づかないのが、私たちの幸せなのかもしれません。本当に?

Are You Happy ?

作:サミュエル・ベケット『Happy Days』
翻訳:長島 確
演出:多田淳之介
出演:ウィニー…佐山和泉  ウィリー…夏目慎也

舞台監督:熊木進 舞台美術:山下昇平 照明:伊藤泰行 音響:泉田雄太 衣裳:原田つむぎ 演出助手:穐山奈未(青年団) 制作:服部悦子 著作権代理:(株)フランス著作権事務所 宣伝美術:松井雄一郎
協力:青年団 krei inc.

主催:富士見市民文化会館キラリ☆ふじみ



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