KAAT×東京デスロック×第12言語演劇スタジオ『外地の三人姉妹』


2023年11月29日(水)~12月10日(日) KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオ

[当日パンフレットより]
三年ぶりの再演にあたり、もう一度台本を練り上げました。もう少し考証に注意を払い、原作であるアントン・チェーホフの戯曲『三人姉妹』との距離を調整し、とりわけ非常に敏感である日韓の歴史を扱うにあたってより良くバランスを取ろうと努力しました。このような貴重な機会を改めて丁寧に設けてくださったKAAT神奈川芸術劇場の皆様、そして、翻訳家の石川樹里さん、演出家の多田淳之介さんをはじめ、日韓の演劇人仲間に敬意を表し深く感謝申し上げます。
私は2020年の初演の際、新型コロナウイルスの影響で、海を渡ることができませんでしたが、今回は上演の現場で日本の観客の皆様と一緒に舞台を観られることをワクワクしながら、とても楽しみにしています。
『外地の三人姉妹』には、日本が朝鮮半島を統治していた時代、半島へ渡り暮らしていたいわゆる「在朝鮮日本人」が出てきます。私は歴史の隙間に光を当て、日本が朝鮮の人々に苦しみを与えた歴史に彼らがどのように加担していたのかを明らかにしようとしました。彼らは悪かったのだと責めたり怒ったりするためにこの戯曲を書いたのではありません。韓国の劇作家として先代の苦痛や被害を訴えるために書いたのでもありません。
国境を乗り越え、日本が朝鮮半島を支配した36年間の歴史を日本の方々と共有し、共に語り合いたいのです。今日のお芝居が歴史そのものではありませんが、舞台上での出来事を一緒に目撃することは、きっと「我々のその歴史」へ目を向ける時間になるだろうと期待しております。
劇作家
第12言語演劇スタジオ芸術監督
ソン・ギウン


PCR検査義務や渡航制限、二週間の隔離もようやく過去のものとなり、以前に戻ったと感じることも増えました。ただあの時感じた、未来が想像できない恐怖はなかなか忘れることはできません。そしてまだ続いているという人も、終わったと感じる人もいて、それぞれ経験が違えば捉え方も違う、歴史が作られていく難しさも感じます。
『外地の三人姉妹』初演は2020年の冬、いつ公演中止になるかわからない恐怖の中、さまざまな方の尽力と幸運にも恵まれ奇跡的に上演することができました。当時は人を集めることが問題視されるなか、KAATはじめ多くの劇場やアーティストは、これまでもそうだったように、混乱の時代を生きていく人々の拠り所であり続けようと活動を続けました。この作品もその一つの成果です。
初演から目指しているのは、日韓の俳優、スタッフと共に、一方的な視点に回収されない日韓双方の観客の鑑賞に耐えうる上演です。ここKAATでの日本上演を経た今回の再演では、さらに韓国の観客を意識したブラッシュアップをしました。結果日本の観客にとってもより多様な視座を感じられる作品になったと思います。あまり日本の観客、韓国の観客とボーダーを引くのは本意ではありませんが、やはり私たちにはボーダーがあります。私たちは違う、違いながら一緒にいるため、相手の視座を想像するために、この共同作業が役に立てたら嬉しいです。
私たちの前にはまだまだ新しい無限の明日があります。

演出家
東京デスロック主宰
多田淳之介


原作:アントン・チェーホフ『三人姉妹』 
翻案・脚本:ソン・ギウン 
演出:多田淳之介 
翻訳:石川樹里

【出演】
福沢庸子(ふくざわ ようこ)・・・・・・・・伊東沙保
倉山昌子(くらやま まさこ)・・・・・・・・李そじん
福沢晃(ふくざわ あきら)・・・・・・・・・亀島一徳
福沢尚子(ふくざわ なおこ)・・・・・・・・原田つむぎ

董仙玉(トン・ソノク/とう せんぎょく)・・アン・タジョン
倉山銀之助(くらやま ぎんのすけ)・・・・・夏目慎也

千葉哲人(ちば てつじん)・・・・・・・・・佐藤誓
磯部史郎(いそべ しろう)・・・・・・・・・大竹直
朴智泰(ぼく ともやす/パク・ジテ)・・・・田中佑弥
相馬僚(そうま りょう)・・・・・・・・・・波佐谷聡
木戸伝平(きど でんぺい)・・・・・・・・・松﨑義邦

黄斗伊(ファン・ドゥイ)・・・・・・・・・イ・ソンウォン
サヨ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・佐山和泉
カンナン・・・・・・・・・・・・・・・・・鄭亜美

【スタッフ】
ドラマトゥルク:イ・ホンイ
美術:乘峯雅寛 照明:岩城保 音響:星野大輔 衣裳:阿部朱美 ヘアメイク:国府田圭 演出助手:相田剛志 通訳・日本語字幕製作:藤本春美
方言指導:桂吉坊(大阪弁) 佐藤誠(津軽弁) 田中美希恵(長州弁)
舞台監督:小金井伸一 プロダクション・マネージャー:平井徹 アシスタントプロダクション・マネージャー:雲田恵
演出部:橋本加奈子 横川奈保子 小道具製作:畠山直子 照明操作:大島真 音響操作:堤裕吏衣 日本語字幕操作:チェ・ヨンウォン
衣裳部:木下明美 柿野彩 小川咲耶 ヘアメイク部:坂口知香 美術助手:正岡香乃
背景:拓人 大道具製作:C-COM 東広 小道具:高津装飾美術 映像技術:マグナックス 衣裳協力:東京衣裳(株) 世田谷パブリックシアター技術部 運搬:マイド
鑑賞サポート(英語字幕) 英語翻訳・字幕製作・操作:永田景子 タブレット字幕デザイン:南部充央
宣伝美術:吉岡秀典 宣伝写真:宮川舞子 宣伝動画:須藤崇規
広報:勝優紀 植田あす美 営業:大沢清 清水幸 票券:小林良子
制作:林有布子 小倉千明 制作助手:加藤仲葉 チェ・ヨンウォン
チーフプロデューサー:笛木園子 伊藤文一 事業部長:堀内真人 芸術監督:長塚圭史

主催・企画制作:KAAT神奈川芸術劇場
企画協力:東京デスロック 第12言語演劇スタジオ
共催:横浜国際舞台芸術ミーティング実行委員会(YPAM2023連携プログラム)
後援:駐日韓国大使館 韓国文化院 公益財団法人 日韓文化交流基金





©宮川舞子



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