『Anti Human Education』


2019年8月31日[土]~9月8日[日] STスポット

[当日パンフレットより]
本日はご来場ありがとうございます。自分も育児に携わるようになり、と言ってもほとんどは妻が請け負ってくれているのでこうして公演当日を迎えることができていますが、育児や教育を考えることはそのまま人間を考えることだと日々感じています。それを育児や教育の当事者ではない人たちと共有するにはどうすれば良いのかを今回はかなり意識しました。自分の子供を育てていると自分が親からされたことを無意識に子供にもしていることに気付きます。自分がされて嬉しかったこと、嫌だったこと、自分がそうだったからという親の基準で家庭教育を行おうとしていることに気づき、恐ろしくなりました。私たちは大人になる過程で親としてどう子供を育てるかを学ぶ機会は一切ありません。子育てはだれもが初心者、失敗を重ねながら子供も親も一緒に育つもの、といろんな本に書いてありますが、子どもにしてみればたまったもんじゃないなと、親になって尚更思います。もしかすると子育てに正解はないのではなくて全てが間違いなんじゃないか、全ての人間は間違って育てられたんじゃないかと考えると腑に落ちるところがあります。
「Anti Human Education」というタイトルには「非人間教育」と「抗ヒト教育」という意味があります。「抗ヒト」とは人間に効く抗体のことで抗体を作るのは当然毒です。日本の教育の目的は、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行うことだそうです。今年不登校の子供の数は14 万人を超えました。全国の中学生の1 クラスに1 人の割合です。学校調べのデータでは不登校の理由は家庭環境がトップでいじめが理由の子供はほとんどいないそうです。なぜ子供達は問題のある家に居ていじめの無い学校に来ないのでしょうか。来年度からは学校を介さず文科省が直接生徒に対して調査を始めるそうです。
平和で民主的な国家及び社会の形成者ではない人として犯罪者を例に挙げると、犯罪者の多くに共通するのが、社会から疎外感を感じ自己肯定感も低いことです。自己肯定感の低さは今の子供達の特徴でもあり、不登校は毎年増え続けています。冗談ではなく次に犯罪に遭うのは教育によって子ども達を排除してきた私たちです。経済格差と教育格差が直結する今、義務教育のみで教育課程を終えた人の犯罪率は大卒の人の30 倍です。ルソーが「エミール」を書いた時代にどんどん近づいてきました。
構成・演出 多田淳之介


構成・演出:多田淳之介
出演:夏目慎也 佐山和泉 伊東歌織 原田つむぎ 松﨑義邦
ゲスト:いしいみちこ(追手門学院高等学校 表現コミュニケーションコース 教諭)
    畑 文子(埼玉県立大宮高等学校 前埼玉県立富士見高等学校 国語科教諭)
    中村陽一(海城中学高等学校 国語科教諭)
    齋藤美和(社会福祉法人東香会 しぜんの国保育園 small village園長)
    渡邉武俊(学校法人自由学園 JIYUアフタースクール リーダー)
    和田正宏(寄宿生活塾はじめ塾 塾長)
    齋藤夏菜子(福島県立ふたば未来学園高等学校 教諭)
    平田知之(筑波大学附属駒場中・高等学校 国語科教諭)

照明:岩城 保 舞台監督:水澤桃花(箱馬研究所) 丸山直己 衣裳:原田つむぎ 演出助手:得地弘基 フライヤーデザイン:細川浩伸 制作:服部悦子 加藤仲葉(ままごと)
企画製作:東京デスロック 一般社団法人unlock
協力:青年団 krei inc. (有)レトル シバイエンジン 急な坂スタジオ

助成:芸術文化振興基金
主催:一般社団法人unlock 東京デスロック
共催:STスポット







photo by bozzo



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