『ROMEO&JULIET』


『ROMEO&JULIET』

第12言語演劇スタジオ合同公演『ROMEO & JULIET ~KOREA ver.~』
2009年10月16日 南山アートセンター[韓国ソウル市]

『ROMEO & JULIET ~JAPAN & KOREA ver. ~』
2009年10月24日~28日 キラリふじみ マルチホール[埼玉県富士見市]

今回は日韓両バージョンありますが、演出は全く違います。
そもそもの発端は、昨年2月にここキラリ☆ふじみで「大恋愛~3人の演出家によるロミオとジュリエット」の3,4,5幕を演出したことでした。その後3月に韓国に渡り、その3,4,5幕をベースにKOREA ver.を韓国人俳優達と完成させました。
僕自身にとっても、初の海外での創作活動であり、それはそれは刺激に満ちた時間を過ごしました。
まず韓国では、シェイクスピアを原文に忠実に翻訳して上演するのは珍しいことのようです。
僕は松岡和子さんの翻訳をベースにした構成台本を、更に韓国語に翻訳して上演したのですが、翻訳者の方は、実際僕に会うまでは、こんなに古い言葉を使う演出家は、相当高齢なんだろうと思っていたそうです。
これだけでも、とても良い体験です。日本では、中野成樹さんのように現代語に翻訳して上演することは珍しいイメージがありますが、じゃあなぜ多くの劇団が普段使わない言葉を舞台上で扱うのでしょうか?
僕の答えは、演劇は時間を扱う表現であり、400年前にイギリスで書かれた戯曲が、100数十年前に日本に渡り、日本人の歴史と共に翻訳されてきた、その歴史、時間の事実と、今我々が生きている現代との関係というのが、僕の表現には大切だからだと考えています。JAPAN ver.は、正にその観点から創られています。
今の我々にとって、「ロミオとジュリエット」とは何か?それが僕にとって作品を作る核となっています。
今回から新シリーズCONTEMPORARYシリーズが始まります。これまでは、演劇は戯曲があり、俳優が存在し、演出家はその二要素を核に作品を作るというスタイルでしたが、見た目にさほど大きくは変わらないとは思いますが、新シリーズでは、そこに余り拘らずに作品を創っていきたいと考えています。もしかしたら、それは演劇とは呼べないものになるかもしれない、しかし、それも演劇と呼びたい、そういう想いを込めた新シリーズです。
そしてKOREA ver.。昨年4月の初演時も、劇中に客席から手拍子、歓声が起きるエキサイティングなステージでした。
今月の16日にソウルで再演をしてきたのですが、今年も更に反応は良かったようです。もちろんそれは韓国の観客のノリの良さの賜物であり、韓国語上演であることも大きく関係しています。
恐らくこの富士見公演は、劇場も客席の形も違います、何しろ韓国語上演です、それは日韓の観客にとって、少なくとも僕にとっては全く違う作品です。劇場で起きている現象が全く違います。いわゆる外国語上演の多くは、字幕が出ます。しかし今回は、全ての台詞に字幕が出るわけではありません。韓国上演と同じ作品を上演するのであればそうするでしょう。しかし、それはやはり韓国公演の劣化版のようで、字幕を追うあまり、大切な表情や舞台上の出来事にも反応が鈍くなるでしょう。それならば多少言葉がわからなくても、それを前提として楽しめる作品にしたいと考えて創りました。シェイクスピアなんだから台詞を知りたい、と言う方も居られると思います。でも思い出してください、忠実な翻訳上演の方が珍しいという国もあるのです。といっても、もちろん字幕は出ますし、内容もわかるようにしてあります。日本人観客を前提として、韓国語作品をベースとした新しい作品だと考えていただけると嬉しいです。でも実は、俳優達の声と体だけでも相当楽しめる作品だと思います。
ここキラリ☆ふじみから始まった作品が、韓国に渡り、再びキラリに完全版として帰ってきました。
韓国人俳優達も日本の観客に出会うのを楽しみにしています。作品と出会い、芸術と出会い、それらを通じて人と出会う。劇場とはそういう場所なのだと思っています。韓国人俳優との交流会も27日に開きます、是非お越しください。
本日はご来場ありがとうございました。どうぞまたキラリ☆ふじみに足を運んでください。
(当日パンフレットより)


原作:ウィリアム・シェイクスピア 構成・演出:多田淳之介

【JAPAN ver.】
出演:夏目慎也 石橋亜希子(青年団) 坂本絢 橋口久男(三条会) 堀井秀子 中林舞(快快) 浦壁詔一

【KOREA ver.】
出演:イ・ユンジェ クォン・テッキ イ・クノ キム・ソンイル パク・キョンチャン オ・ミンジョン カン・チョンイム チェ・ソヨン キム・ユリ 佐山和泉

照明:岩城保 音響:泉田雄太 舞台美術アドバイザー:濱崎賢二 宣伝美術:宇野モンド 韓国語翻訳:ミョン・ジンスク(Myung Jinsook)通訳/ドラマトゥルク(韓国公演):イ・ホンイ(Lee Hongyi) 演出助手(韓国公演):カン・ミンベク(Kang Minbaek)制作協力:第12言語演劇スタジオ(12th Tongue Studio) ソン・ギウン(Sung Kiwoong)制作:服部悦子 企画製作:東京死錠


『ROMEO & JULIET ~JAPAN ver. ~』

『ROMEO & JULIET ~KOREA ver.~』



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