東京公演休止にあたり

東京デスロックは、REBIRTH#3『その人を知らず』をもちまして東京公演を休止致します。

2008年より埼玉県富士見市民文化会館キラリ☆ふじみのレジデントカンパニーとなりましたので、今後はキラリ☆ふじみを拠点に、東京以外の各地域での上演を予定しております。

わざわざ東京で上演しない理由は、キラリ☆ふじみの活性化の為でもありますが、それだけではありません。東京公演は観客動員も見込めますし、批評の対象となりやすいというメリットもあります。一般的に東京で上演する目的はその二つと言えるでしょう。もちろん多くの観客に作品を提供し、数多くの中から評価を勝ち取ることは、劇団にとって必要なことです。
東京デスロックの宿志は「演劇の可能性、魅力を伝えること」であり、それにも多くの観客は必要です。
しかし、東京の観客の多くは、演劇を日常的に観る方が多く、既に演劇に魅力を感じている方々かと思います。東京にはこれだけ多くの劇団がありますから、演劇の可能性、多様性に関してもいわずもがなの人々でしょう。もちろんそういう観客に、まだまだ演劇は面白い、と思ってもらいたいという欲求もありますが、我々にとっては、「演劇って大見得を切って朗々と台詞をうたい上げるものだけしかない」と思っている人々も大切です。

前回公演『演劇LOVE2008~愛の行方3本立て~』を上演するにあたり、このまま活動を続けることが、演劇にとっても我々にとっても幸せなのか、という問いを立てました。3作品とも賛否はもちろんありましたが、その賛否どちらをとっても、貴重な反応を得られたと感じています。そして、その問いの答えとして、今一度我々の宿志に向き合うためにも、東京公演を休止する事にしました。
決して東京が嫌になったわけではなく、前向きにとらえていただければ幸いです。
演劇の可能性、面白さを伝えるべく、演劇の幸せを目指して、今後も作品を上演し続けます。

どうなるかは本当に分かりません、何も成し得られないかも知れません、劇団経営も危ぶまれるかも知れません、ですが、演劇への愛を携えて冒険に出ることにしました。
東京で我々の作品を楽しみにしてくださっていた方には申し訳ありませんが、メンバー各々の東京での活動にご期待下さい。
そして気長に復帰を待っていただければと思います。今後ともよろしくお願い致します。演劇LOVE。

2008年10月25日
東京デスロック主宰 多田淳之介




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